2004-01-01から1年間の記事一覧

RPGについて

別にそれほど深い感慨ではないのだけれど、最近のいわゆるライトノベルの隆盛やその周辺をめぐるいくつかの批評などを見ていると、そこにそれとない「欠落」を感じることがある。 それはゲーム、なかでもRPGのナラティブに対する言及の少なさである。 もちろ…

『珈琲時光』その他

昨日は『珈琲時光』(監督:ホウ・シャオシェン)を見た。 「小津安二郎の生誕100年を記念」した作品ということで、今回は、見る前からぼく自身が最近拘泥している「物語」や「ドラマ性」についてはいったん頭の中から取り払っていたため、ゆったりと楽しい…

醜いもの

断定してもいいことだが、安易さは醜い*1。 最近のニュースから。 11日午前11時45分ごろ、千葉市若葉区西都賀3丁目の市道で、2人組の男が、車いすの同市稲毛区の無職女性(40)を路地に引き込み、ナイフのようなものを見せ「金を出せ」と脅した。…

パーティー用の文章

来月結婚の披露パーティーを開く友人カップルから、そのパーティーのパンフに載せる文章を頼まれた。「ぼくたちの歴史を一番よく知っているのはお前だから」とのこと。即答で引き受けたものの、二人が付き合い始めたのはもう8年も前のことで記憶も曖昧だし…

とんかつ日和

発作的にとんかつが食べたくなり、いままで入る機会がなかった池袋「ほんきや*1」へ。 黒豚ロースかつ定食を頼む。 雑居ビルの二階という立地の外見に似合わず、店内はとても清潔な印象。少し音楽のボリュームが大きい感じがしたが、それは一人で行ったせい…

読んだ本のメモ

『パレード』(吉田修一:幻冬舎)。 あるマンションで暮らす5人の若い男女の物語。5人それぞれが話者である5つのパートからなる。 印象に残った部分の抜粋。 「笑っていいとも!」ってやっぱりすごいと私は思う。一時間も見ていたのに、テレビを消した途…

『LOVERS』

『HERO』をそれなりに楽しく見た記憶に引かれて、 『LOVERS』(監督:チャン・イーモウ)も見に行く。以下、思ったことなどを少々。ネタバレあり。 例によってぼくの関心はほとんど物語だけなので、新聞のレビューとかでも絶賛されている色彩感覚や衣装*1そ…

おばさん嫌い

きょうは早めの昼食を池袋の小さな中華屋でとった。 で、注文したチンジャオルースー丼が出てきて勢いよくそれをかっ食らっていると、客として入ってきたおばさんがぼくの横に立って、こっちを覗き込んできた。気にしても仕方がないので食べ続けていると、 …

『華氏911』など

旬から外れるとあまり意味がなくなってしまう種類の映画だと思ったので、いくつかの選択肢の中から『華氏911』(監督:マイケル・ムーア)を選んで見に行く。以下、ちょっとした感想、考えたことなど。 ムーアの作品を見るのは前作『ボウリング・フォー・コ…

エアコンから自由へ

先週、部屋のエアコンが壊れて思ったこと。 暑いのが苦手なぼくは冷房が効かなくなると何もできなくなってしまって、日記の更新どころか各種本当にやらなくちゃいけないことにまで手がつかなくなる。 でも空調設備が整っていなかった時代というのはそんなに…

anan のカラダ特集

友達が置いていったanan(マガジンハウス)をめくる。 ぼくはこの手の雑誌(の男子版)を読んでいた記憶がほとんどなくて、もっと全然「ファッション」よりのメンノン*1とかも10代を通り過ぎてからは買ってない。実際服とか、もうブランドやショップが決ま…

日テレ嫌い

きょうは調子が悪くてどうにも飲みに行く気分にならなかったので、誘いの電話がある時間帯に携帯の電源を切っておいた。最近は嘘をつくのも面倒になっている。夏の暑さのせいかな? 夏の暑さのせいだ間違いない。 そういうわけで、部屋でぼんやりしつつテレ…

曙太郎は夢を見る

あーうー言ってるうちに盆も終わってしまった。 盆前に考えてたことの絡みでいくと、PRIDEグランプリも新日のG1もオリンピックの陰に完全に隠れたままで終わってしまったし。 今回のPRIDE(の結末)は、完全にこのあいだまで書いていた[K-1の終焉]の文脈の中…

K-1の終焉(7)

最終回。 (7) このことが引き起こしている事態について、いくつかの周辺的な事例を挙げよう。 まず、現在の格闘技界においては、「強さ」をめぐる言説が非常に偏った形で分布している。 例えば、先にも挙げた今年5月の「K-1 ROMANEX*1」での中邑真輔(プ…

K-1の終焉(6)

前回からの続き。 (6) そしてこのマンガ*1の帰結は、今後の格闘技を考える上で非常に示唆的なものだとぼくは考えている。 格闘技界において80年代に起こった新たなリアルを求める運動は、「セメント」への志向とが、どのようにして「ショー」と整合性を…

K-1の終焉(5)

(4)からの続き。 (5) ここまで、80年代プロレスで生まれたUWFという特異な運動が提出した「リアルをめぐるいくつかの問いかけ」をたどることで、K-1の成功と(現在の)衰退の理由を簡単に見てきた。そこで問題となっているのはK-1のジャンル化であり…

K-1の終焉(4)

前回からの続き。 (4) こうした状況を象徴するプレイヤーとしてボブ・サップをあげることができるだろう。元NFL選手という肩書きを持つサップはさほど注目されるプレイヤーではなかったが、PRIDEで圧倒的な「パワー」を見せ付けることによって頭角を現…

K-1の終焉(3)

(2)の続き。 ではなぜ、K-1は終焉を迎えた(あるいは、迎えつつある)のだろうか。 理由のひとつとして、その成熟と隣り合わせにある「スポーツ化」を挙げることができるだろう。 近年のK-1を観ていて如実に感じられることはそのKO率の低下である。判定…

K-1の終焉(2)

(1)からの続き。 (2) まず、RINGSはその来歴からして「プロレスの呪縛」から抜け出すことができていなかった*1。プロレス的なスターシステムに色気を見せることはリアルファイトへの志向と両立しない。結果、早い段階で「有力選手」と「その他」とが分…

K-1の終焉(1)

今日から何回かに分けて「K-1の終焉」について考えてみる。これは、格闘技というものに仮託した、「ショーの臨界点」についての印象論である。 (1) 「K-1の時代」は終わりを告げた。もはや、一世を風靡することは永遠にないだろう。格闘技の一ジャンルと…

昨日の今日でまたという感じなのだけれど、サッカーアジアカップでの中国観衆の一連のブーイングに関して、こんなニュースがあった。 河村文部科学相は閣議後の記者会見で、「スポーツに政治的なものを持ち込まない大原則について、中国政府も十分対応してほ…

国歌について

ぼくは「健全なナショナリズム」という物言いを認めない人間の一人だ。 ナショナリズムの存在や、それが人々の心や考え方の「ひとつ」のフレームになっていることを否定するつもりはまったくない。だいたいそんなことは不可能でもある。 だけど、それがもつ…

『スチームボーイ』

タイミングが合ったので映画館へ。『スチームボーイ』(監督:大友克洋)を見る。以下、感想。ネタバレ、少しあり。 例によってぼくの興味はナラティブが中心なわけだけど、その点について言えばこの作品はやや貧弱だったと思う。 この映画では主人公レイが…

血液型トークについて

ぼくはカラスが本当に苦手で、あの黒い姿にはいつも恐怖を覚えるのだけれど、それと同じくらいに苦手なもののひとつに「血液型トーク」がある。 例えば、一通りの自己紹介が終わったあとに初対面の女の子とのあいだで唐突に*1、 「血液型、なんですか?」 「…

批評の中心

25年以上も前、詩人の谷川俊太郎は盟友である大岡信との対談の中で次のように述べている。 (いまではそういう意味での批評に疑問を感じはじめてはいるが)ただそれでも、批評の基本にあるのは趣味という、ほとんど外から規定できないような好悪の感情であ…

『ドラえもん のび太と鉄人兵団』

懐かしさに誘われてドラえもんの長編映画を見る。 1986年の『ドラえもん のび太と鉄人兵団』(監督:柴山努)、ドラえもん長編映画の第7作目。実は再見で、子供のころに見たという記憶だけがあるが内容はまるで覚えていない。同じころに見た映画やテレ…

高校野球について(2)

前回ぼくは、高校野球の中心的な要素とはスポーツ性ではないと述べた。これはひどく暴力的な物言いであるため、前もって以下のことを断っておくべきだったかもしれない。 それは、「高校野球」という言葉は外部記述として使われているということである。つま…

『頼子のために』、ほか

読んだ本をメモ。 京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』(講談社ノベルス)。ぼくにしては珍しいことに前半の早い段階で物語がどういう形で収束するのかがよめてしまい、謎に惹かれてというよりも、その「よみ」の確かさを確認するために読んでいった感じ。結局期待は裏…

高校野球について(1)

7月も後半にもなると毎年のように「今年も球児たちの暑い夏がやってきます」的な女子アナの声*1がテレビから聞こえるようになる。球児たちの暑い夏、高校野球の夏である。 もっともこの高校野球に対しては、それなりに批判もあるらしい。 昔から「なんで野…

TrackBack。多謝。 http://d.hatena.ne.jp/nagata/20040720 ちゃんと忍耐力を発揮して考えてみたい。まあ、だいぶ先になると思いますが、ご期待ください。 などと言ってしまっていいのだろうか・・・。 いまできることといえば、とりあえず、それらに至るよ…