パーティー用の文章

来月結婚の披露パーティーを開く友人カップルから、そのパーティーのパンフに載せる文章を頼まれた。「ぼくたちの歴史を一番よく知っているのはお前だから」とのこと。即答で引き受けたものの、二人が付き合い始めたのはもう8年も前のことで記憶も曖昧だし、なんというか第三者には伝わりづらい話が多い。
困った。
で、頼まれてからずいぶんたってしまった。友人だけの気楽なパーティーとは言うものの、人数はかなり多いらしい。どのくらいの内容で書けばいいのだろう。
まあいいやと思い、とりあえず勢いで書いてみたのがこれ。あといくつか考えてみる必要もあるけど、読み返すために日記にあげておく*1


<キラキラヒカルヨミチヲカエル>
この場を借りて、きょうの主役の二人を紹介させていただきます。もちろん二人のプロフィール等は皆さんご存知だと思いますので、ここでの紹介は、二人のヴェールに包まれた恋愛生活について、ぼくの知っている二人の性格から(あくまで)推測されるあれこれと、本当にあったあれこれとを織り交ぜての紹介になります。幸福な方もそうでない方も、幸せな二人にあやかる意味で、少しばかりお付き合いください(なお、登場人物は旧姓です)。
皆さんご存知のとおり、○○はやさしい男です。ただ時々そのやさしさは仇になることもあります。
例えば、合コンに誘ってくれる友人から「面子が足りないから今回だけ、頼む」と手を合わされたりすると、いつも断ってばかりいることを内心後ろめたく思っている○○は、申し訳なさからしかたなく参加してしまったりします。
そして、たまたま○○のやさしさを見抜いてしまう女の子がその合コンに参加していたりして、彼女は○○に好意を寄せることになります。電話やメールが頻繁に来るようになり、○○は頭を抱えます。なにしろ○○には大切な大切な女性がいるのです。
いくら頼まれたとはいえ、合コンに行ってしまったのは自分のミスです。好きになってくれた彼女を傷つけるわけにはいきません。そしてもちろん、大切な女性に嘘をつくことなど、誠実な○○にはできません。○○は大切な彼女である××に相談します。
××は話の分かる女性です。○○の話の一部始終を聞き、××はしかたがないことだと思います。いつも合コンに参加しないのは私のためだし、そのおかげで大事な友人との人間関係がうまくいかないのも困る。もちろん、彼を好きになった女の子を責める要素は何一つない、そう××は考えます。
ですが、理性では納得できるのですが、どうにも腹の虫が収まりません。××にしてみれば、やはり全ての根源は○○が合コンに参加してしまったことにあるのです。なんで私は彼の立場にたって物事を考えているのだろう。だいたい、解決する前に私に相談するってどういうこと。自分が嫉妬していることも知っている××は、○○に対してきつく当たります。
○○はずっと反省し続けます。このままサルになってしまえたらいいのにと思います。彼は、好きになってくれた女の子と大切な彼女の両方をすでに傷つけてしまったことに気づいています。そして聡明な彼はそこで、誰一人傷つけずに済むことなどないし、そうした自分の態度が本当の意味で誠実でないということに思い当たります。○○は好きになってくれた女の子に本当のことを告げ、謝ります。そして自分が手にしているものの大切さを、改めてかみ締めます。
おとなしそうな××も、時には反乱を起こすことがあります。江國香織が好きなラブストーリー体質の彼女は想像力豊かな女の子ですが、長い遠距離恋愛の時間はときに人を不安にさせます。見えない姿を想像力でカバーするにはかなりの忍耐力が必要ですし、それにこの二人、意外とモテるのです。
例えば社会人一年目、××の手から最大規模の反乱が起きたとします。それは鎌倉時代で言うなら「後鳥羽上皇の乱」クラスで、そこまでいくとほとんど幕府転覆の危機です。どれほど長く付き合っていても、いや、付き合う時間が長ければ長いほど、感情の揺り返しもまた大きいものです。
××がラブストーリー体質だとするなら、○○はそのままラブ体質です。彼は情熱家であり、愛する人を喜ばせることに、彼女の笑顔に幸福を見出す人間です。そして彼は武士です。彼はそれが今までにない規模の反乱であることを察知し、寝る時間も惜しんですぐさま彼女の元に駆けつけます。「いざ世田谷」、覚悟はもちろんラストサムライです。
××は駆けつけた彼からその真摯な気持ちを聞きます。もちろんそれで自分が抱えている不安が消えるわけでないことは知っていますが、彼の態度と、そして何よりその姿を見ることで不思議と心のもやもやが晴れていきます。一番大切な人を思い描くと、そこにはずっと二人でいた○○の顔が浮かびます。
二人は「二人でいること」の大切さに改めて気づきます。学生時代とは違って、時間は無限大ではありません。そして時に距離は無限大のように感じられます。そうした中で、限られた時間のすべてを幸福に向けて仕向けること。二人でいることを最優先にすること。きらきら光る夜道を二人で帰ること。そうした一瞬一瞬を積み重ねて、きょうの二人がいます。
ぼくたちの目の前にいる二人は、間違いなく素晴らしい幸せの幸せの幸せの幸せの幸せに包まれています。
どうぞ、心からの祝福を!!
友人N


*1:あと、このblogを教えてるわずかな知り合いへ。当たり障りその他ありそうだったら携帯かメールまで連絡してください