読んだ本のメモ

『パレード』(吉田修一幻冬舎)。
あるマンションで暮らす5人の若い男女の物語。5人それぞれが話者である5つのパートからなる。
印象に残った部分の抜粋。

笑っていいとも!」ってやっぱりすごいと私は思う。一時間も見ていたのに、テレビを消した途端、誰が何を喋り、何をやっていたのか、まったく思い出せなくなってしまう。「身にならない」っていうのは、きっとこういうことなんだ。(P64)

この小説もたいして変わらない(ぼくには)。
最後の章の微妙なシリアス展開を評価するか、不自然とみるかで、人によってがらりと印象が代わる作品だと思う。個人的には後者。
前から読もうとは思っていたので、ま、いいかという感じ。あと、ぼくはこの本の題名をずっと「パレート」だと思っていて*1、読み終わってから違うことに気がついた。


ソウルドロップの幽体研究』(上遠野浩平祥伝社)。
話が散らかっているというか、キャラクターがばらついているために物語自体の焦点が合ってない印象。謎も中途半端*2ブギーポップシリーズをはじめとする、その他の上遠野作品との関連は不明。
ペイパーカットのコアの設定(「生命と同等の価値のあるものを盗む」)がプライベートでかつ漠然としているために、例えば「世界の敵」のような、イメージが醸成する共通性・普遍性が作品から欠けている。結果、物語として小粒な感じがした。


*1:もちろん「パレート最適」からの単純発想

*2:「フォーカード」の犯人設定はミステリーとしては容易すぎる印象