愚者読

『QED 百人一首の呪』

高田崇史『QED 百人一首の呪』(講談社文庫)を読む。以下、ちょっとした感想など。 高田崇史のデビュー作。この作家の本を読むのは今回が初めてだったのだけど、読み始めてまもなく出てくる「幽霊」「鬼」とか「呪」とかの言葉にそのまま夢枕獏の安倍晴明シ…

『頼子のために』、ほか

読んだ本をメモ。 京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』(講談社ノベルス)。ぼくにしては珍しいことに前半の早い段階で物語がどういう形で収束するのかがよめてしまい、謎に惹かれてというよりも、その「よみ」の確かさを確認するために読んでいった感じ。結局期待は裏…

二冊ほど

読んだ本をメモ。 山田風太郎『白波五人帖』(集英社文庫)、『自来也忍法帖』(文春ネスコ)。 『自来也忍法帖』のほうは早々に展開が読めてしまったので興味が持続するかどうか心配だったけれど、短期間で読了。『白波五人帖』は旅行に持っていき、疲れた…

「好き好き大好き超愛してる。」

舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」(『群像』2004年1月号)を読む。以下、ちょっとした感想など。 舞城王太郎はぼくにしてはめずらしく、デビュー当時からわりとコンスタントに読んでいる作家だ。『煙か土か食い物』はなんどか友人に勧め、貸し…

『世界の中心で、愛をさけぶ』

『世界の中心で、愛をさけぶ』(片山恭一:小学館)。小説。いわずと知れたベストセラー。立ち読みしていたら、図らずも読了してしまったので。 以下、簡単に感想。 内容としては、「愛すること」(「愛」ではなくて*1)と「愛する人と永遠に別れること」が…

「嗤う日本のナショナリズム」

「嗤う日本のナショナリズム――『2ちゃんねる』にみるアイロニズムとロマン主義」(北田暁大:『世界』2003年11月号)について、整理。内容については、2ちゃんねるの反マスコミ主義とナショナリズムについて社会学的に取り上げたというもの。分かり…

『自由を考える』

『自由を考える』(東浩紀・大澤真幸:NHKブックス)について。今回はメモ。ぼく自身の考えはほとんど入ってない。ナイスです。 いくつか重要な論点が提出されているが、なかでもぼくの印象に残ったのは、東が第Ⅱ章においてアニメ『ほしのこえ』に即して…

『サイファ 覚醒せよ!』

読みかけだった宮台真司・速水由紀子『サイファ 覚醒せよ!』(筑摩書房)、読了。このあいだ自分の予感を確認しておいたおかげか、サクサク進む。 50ページまでで読むのをいったん放棄していたときの印象・予感は先日のブログで整理しておいたわけだけど…

『経済学という教養』

稲葉振一郎『経済学という教養』(東洋経済新報社)、ようやく読了。というか、まったく読書が進まない現状に腹が立ったので時間を集中的に投下したら、残っていた半分はあっという間だった。なにごとも覚悟だと実感。 以下、ちょっとした感想。 正直言って…

『サブカルチャー文学論』

大塚英志『サブカルチャー文学論』(朝日新聞社)、読了。休み休みだったのでずいぶん時間がかかった(だいたい、ちょっとおかしいくらい厚かったし)。ぼくには馴染みの薄い作品もずいぶん扱われていて(例えば新井素子は『グリーン・レクイエム』とあと一…