『南十字星』

ぼくはミュージカルというのが食わず嫌いで、いままで何かそういうものを見た記憶がないのだけど、先週ちょっとした友達関係上の付き合いというやつで浜松町へと足を運んだ。劇団四季のオリジナルミュージカル『南十字星』を見るためである。
で、見た。感想をほんの少し。
なんというか、あまりに単純で一本気なストーリーで、もう途中からは「とりあえず笑っとけ」という感じ。怪我をして病床の主人公がいきなりいい声で歌い出すなんていうのはまあご愛嬌だろうけど、ストーリーがあまりにひどい。第二次大戦中のインドネシアでの日本軍将校の話なのだけど、どこが起承転結なのだかまるで分からず、兄弟関係を描きたいのか、恋愛関係が描きたいのか、「日本軍は現地でいいこともしましたよ」って言いたいだけなのか、何もかもが中途半端。あげくラストはケチャを踊り出したり(いくら舞台栄えする要素だけ抜き出したにしても、インドネシアの扱い方がひどすぎる)、処刑される主人公が「これからの日本を背負って立つきみたちへ」みたいな父親気取りのモノローグをはじめたり、あらゆる点で混乱している。
ストーリーではなく、一方的なメッセージだけがあるような舞台だった*1。説教臭いのだ。もちろん、これでは効率よくちゃんと観客を泣かせることなどできるわけがない。
収穫:劇団四季のオリジナルミュージカルはやめておいたほうがいい。


*1:そのメッセージの拙さや問題性については、正直書くほどのものでもない