読んだ本のメモなど

まったく、何日寝ていたか分からなくなるくらいの風邪をひいた。
風邪じゃなく食あたりだった可能性もあって、おかげで3キロほどやせていた。dietという言葉の中に「死(die)」がまぎれているのも、あながち偶然ではないのかもしれない。語源なんかは知らないけれど。
法月綸太郎『生首に聞いてみろ』を読了。ちょっと前に読み返した『頼子のために』『ふたたび赤い悪夢』との違いに驚く。後期クイーン問題などと親和性の高かった「ハードボイルド性」が完全に鳴りをひそめ、作品の持つ批評性の方向が反転している*1。ぼくは青春の「どうしようもなさ」を内側に抱えて*2迷走する探偵が好きだったので、そういう意味ではなんとなく寂しい気持ちになった。大人になれよ。
オーストラリアの総選挙で与党が勝利とのこと*3。この政権もずいぶん長い。オーストラリアの保守反動化が言われたのはけっこう前になると思うけど、そのままそれが安定・定着しているということなのだろうか。
ジャック・デリダ死去*4。サイードが死んだのも、去年の今頃じゃなかっただろうか。そんなことをふと思った。
関連して、パレスチナ。ちょっと前にガザ侵攻中止国連決議案の否決があったけど*5、この問題ほど政治のやるせなさを感じさせるものはない。瓦礫が風景として定着した場所で荒廃しない魂があるのならば、それのほうが奇跡だろう。


*1:このことは、例えばid:solar:20041011などで述べられている、「法月綸太郎はこの作品で、完全に八〇年代=青春時代への決別を告げている」といった印象に連れ添っている

*2:内側に抱えて。そう、過剰な自意識の問題系と、それがどう「他」に接続するのかということこそが、青春小説の最大の核だとぼくは思っている

*3:http://www.asahi.com/international/update/1009/008.htmlなどより

*4:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20041010ddm041060094000c.htmlなど

*5:http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2004/10/06/20041006ddf007030015000c.html