読んだ本のメモ。
ルーマン 社会システム理論』(ゲオニク・クニール、アルミン・ナセヒ:新泉社)。以前、社会システム理論についてなんにも知らないのもどうかと思って買ったまま「積ん読」状態だった、ルーマン理論への入門・概説書。分かりやすくて読みやすかった。以前からいろんなところで見かけていたタームが頻出し、現在の社会学のなかでのルーマン(というか、システム理論)の影響力がいかに大きいのかを思い知る。この本のなかではとりわけ「第二次的観察」に焦点化して説明されていた感じがするけれど、機会があったらルーマン本人の著作にも触れておこうと思う。
「現代小説・演習」(『群像』2003年12月号)。愛媛川十三舞城王太郎による、評論/小説*1。というか、このスラッシュを何とかしようというところにこの作者の神経は集中しているわけで、そこらへんがほんと厄介極まりない。ただ、ふと思ったのは、さっき読み終わったばかりのルーマンの概説書の内容と、この舞城の短編とは親和性が高いということ。ようするに、キャラが「第二次的観察」者であることを自覚して小説内に登場したときに生じるパラドックスを、どのような形で宥和・縮減できるか/できないか、ということを考えたものとしても読めるというわけだ。付け焼刃的には。
まああと、ぼくとしては「設定」について考えるヒントになるのかならないのかっていうのが興味。「設定」っていうタームはそこから先に遡ることを軽く「拒絶」するわけで、その意味で前時代の「神」とかと似てるわけだけど、ただ「神」とは違ってコミュニケーション(もどき)すら不可能なわけだ、キャラとしては。
いまいち考えがすすんでくれないので、おしまい。


*1:タイトルは「いーから皆密室本とかJDCとか書いてみろって。」/「私たちは素晴らしい愛の愛の愛の愛の愛の愛の愛の中にいる。」