[愚者読]−『方法序説』

以下、『方法序説』(中公クラシックス)を使う。引用等も同書から。

  • 第一部

 冒頭の一文が今回考えるべきすべてになる。

良識はこの世で最も公平に配分されているものである(P3)

 さて、どうしよう。立ちすくむ。
 本文に沿うなら、「良識=理性=判断力はすべての人に等分に所与であり、よって問題はその導き方(方法論)である」というのが冒頭部分の趣旨になる。
 だとすると、良識は静的なもの、固定的なものだと考えられる。「等分に所与」である以上、そこに変化を認めてはまずいだろうし、方法論を語りだすのにも不都合だから。
 さて、続けて読んでいくとデカルトの自伝的な話がはじまる。学生時代にいろんなことを学びましたよ、いろんなことを学んだけれどそのほとんどに「つーかオッサン、その道行き止まりだよ」って思いましたよ的な話。で、書物の学問を捨てて旅行(従軍とかも旅行なんだね。素敵だ)に出る。
 旅行の収穫。

多くのことがわれわれにとってはきわめて奇矯で滑稽に思われるにもかかわらず、やはりほかの国々の人によって一般に受け入れられ是認されているのを見て、私が先例と習慣とによってのみそうと思いこんでいたにすぎぬ事がらを、あまり固く信ずべきでない、と知ったこと(P13)

 でデカルト、これからは自分自身を研究しようと思い立って、第一部END。

 知識の欠乏を痛感するも、思ったよりは読みやすい。でも、考察は先送り。